中国・ベトナム・タイで「先に商標を取られた」…そのときどうする?
2026.02.20
こんにちは、弁理士の植田です。
中国や東南アジアでビジネスをしている日本人経営者の方から、こんな相談をよく受けます。
「現地で商標を出願しようとしたら、もう登録されていました…」
しかも、出願人はまったく関係のない現地企業や個人。
今日は、中国・ベトナム・タイで実際に起きている
「先取り商標(いわゆる冒認出願)」の実例と、その対処法について解説します。
海外展開している方は、正直、他人事ではありません。
■なぜこんなことが起きるのか?
まず大前提として、
中国・ベトナム・タイはいずれも「先願主義」です。
つまり、
誰が最初に使ったかではなく、誰が最初に出願したかが基本。
日本でも先願主義ですが、
中国は特に「先に出せば勝ち」の傾向が強いです。
実際によくあるパターンはこうです。
・展示会に出展
・現地で代理店を探す
・OEM交渉を始める
・ECで販売開始
→ その後、現地の誰かが商標を出願。
気づいたときには、もう登録済み。
そしてこう言われます。
「商標を使いたいなら、買い取ってください。」
いわば“人質ビジネス”です。
■実際に起きたケース
ある日本の食品メーカーさん。
中国で人気が出始めたタイミングで商標出願しようとしたら、
すでに中国人個人名義で登録済み。
しかも、その人はそのブランドを使った商品を販売していない。
典型的な“転売目的の出願”です。
結果どうなったか。
数百万円で買い戻しました。
これ、珍しい話ではありません。
ベトナムやタイでも、同様のケースは増えています。
■では、先に取られたら終わりなのか?
結論から言うと、
終わりではありません。
ただし、時間もコストもかかります。
主な対処法は次の3つです。
① 無効審判・異議申立てを検討する
中国では、悪意による出願(いわゆる冒認出願)であれば、
無効主張が可能なケースがあります。
ただし、
・日本での著名性
・先使用の証拠
・悪意の立証
など、ハードルは決して低くありません。
ベトナムやタイでも争えますが、
実務的には長期戦になることが多いです。
② 買い取る(現実的だが悔しい)
正直に言うと、これが一番スムーズなケースも多いです。
裁判や無効審判で数年かけるより、
一定額で早期解決した方が事業上は合理的、という判断。
ただし、
最初の提示額をそのまま飲んではダメです。
交渉のやり方次第で大きく変わります。
③ ブランドを変更する
スタートアップや小規模事業であれば、
ブランド変更という選択肢もあります。
ただ、
・すでに認知がある
・ECレビューが積み上がっている
・SNSフォロワーがいる
この状態だと、損失は大きい。
だからこそ「事前対策」が圧倒的に重要なんです。
■一番大事なのは“進出前”
僕がいつもお伝えしているのはこれです。
海外に行くなら、
「行く前に商標を押さえる」。
展示会に出る前。
代理店と話す前。
OEM交渉を始める前。
出願費用は、
後から買い戻す金額の10分の1以下で済むことがほとんどです。
これは保険ではなく、戦略投資です。
■中国・ベトナム・タイでの戦略の考え方
それぞれの国で少しずつ特徴は違いますが、共通するポイントは3つ。
1.できるだけ早く出願
2.英語表記・現地語表記も検討
3.本社主導で管理する
「現地パートナーに任せている」は危険です。
本社が知財を握る。
これが海外展開成功企業の共通点です。
まとめ
中国・ベトナム・タイで
「先に商標を取られていた」
これは珍しい話ではありません。
でも、
・事前に防げるリスク
・対処法がある問題
でもあります。
海外展開はチャンスが大きい分、
知財の差がそのまま利益の差になります。
もし、
「うちも少し不安やな…」
「現地で使ってるけど出願してない…」
という方は、一度立ち止まってチェックしてみてください。
手遅れになる前に。
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ちゃんと現実的な解決策を一緒に考えます。
一緒に、守りながら攻めましょう。
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