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【文化比較】日本のスタートアップは“知財感覚”でまだ遅れてる?〜INTAで感じた5つのギャップ〜

2025.05.31

「えっ、学生がもう特許出してるの?」

こんにちは、弁理士の植田です。

先日、アメリカ・サンディエゴで開催されたINTA(国際商標協会)年次大会に参加してきました。
世界中の知財関係者が集まり、現場のリアルな話を直接聞ける、非常に貴重な機会です。

そこで感じたのが──
「知財に対する“当たり前の感覚”が、日本とまったく違う」ということ。

この記事では、INTAでの交流を通じて見えた
「アメリカと日本のスタートアップにおける“知財リテラシーの差”」について、5つの視点からお伝えします。


① pitch資料に“知財ポートフォリオ”が載ってるのが普通

アメリカのスタートアップでは、ピッチ資料や投資家向けプレゼンの中に、
「Intellectual Property(知財)」のスライドが入っているのが当たり前になっています。

  • 出願中・登録済みの特許
  • 商標登録状況
  • ノウハウ管理の仕組みや契約面の整備



などを、“ビジネスの信頼性を示す要素”として堂々とアピールしているんです。

日本のスタートアップでも「特許出したいんですけど…」という相談は増えてきていますが、
まだまだ「知財は専門家に任せるもの」「後から考えるもの」という空気が根強い印象があります。


② 知財教育が“若い世代にも根付いている”という感覚

INTAでアメリカやヨーロッパの弁理士、企業の知財担当者と話して印象的だったのが、
「うちの国では、大学生や高校生が発明して特許出すってわりとあるよ」
という声が複数あったこと。

実際、アメリカでは

  • 高校や大学で、発明・起業・特許をテーマにした授業がある
  • 学生が研究成果をもとに出願・ピッチをすることも珍しくない
  • 知財庁(USPTO)も、若年層向けの教育プログラムに力を入れている

という文化があります。



日本でも、少しずつ大学で起業支援や知財教育が広がっていますが、

「知財は専門家のもの」ではなく、
「自分のアイデアを守る当たり前の武器」だと自然に認識している



この点では、まだまだ差があると感じました。


③ 商標も“初期段階で押さえる”のが基本スタンス

現地のスタートアップや企業と話していて共通していたのが、
「名前やロゴは、ビジネスを始める前に商標で押さえる」という意識の高さです。



アメリカでは、商標のクリアランス調査(重複チェック)を行った上で、
プロダクト名やスローガンを設計するのが当然の流れ。


「出した後にトラブルになるのが一番のリスクだから、先にやる」
という考え方が定着していました。



一方日本では、

  • 名前を決めてから「これ登録できますか?」と相談が来たり
  • ロゴを外注して、権利が誰のものかわからない状態だったり


──そんな“あと回し”がいまだに多いのが実情です。


④ 契約や開発時点で“知財の取り決め”が明確



INTAで特に印象的だったのは、
欧米企業は「契約段階で知財の帰属や管理ルールをきっちり決める」という前提が強いこと。


たとえば──

  • 外部パートナーとの共同開発での特許帰属の取り決め
  • ブランドの使用ライセンスの範囲
  • 従業員・元社員との機密保持契約の徹底

こうした話が、“法務部だけでなく現場でも理解されている”という雰囲気がありました。

日本の中小企業では、
「信頼関係で進めてしまった」「後でトラブルになった」
というケース、まだまだよく見かけますよね。


⑤ 知財を「守る」だけでなく「攻めの武器」として使っている

アメリカでは、
知財=リスク対策ではなく、“成長のドライバー”として使うという意識が根強いです。

  • 特許で独占領域を作って投資を引きつける
  • 商標でブランドを築き、競合を寄せつけない
  • 意匠でプロダクトの差別化を“見た目”から固める



「どうやって競争優位をつくるか」という視点で、
知財が“ビジネス戦略の中核”に組み込まれていると強く感じました。


まとめ:「スタートアップ×知財」は、もはや世界標準

日本のスタートアップでも、「知財は資産だ」という認識は広がってきています。
でも、アメリカをはじめとする海外のスタートアップを見ると、

「知財?そら当然押さえてるよ」
というレベルの“当たり前感”がありました。



INTAを通じてあらためて思ったのは、
“ビジネスを立ち上げる=知財も同時に立ち上げる”という視点が、日本でももっと必要やということ。


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