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【海外展開のリアル】“知財で守ってから売る”が当たり前の国もある

2025.07.13

──日本との違いを文化的な視点で紹介。

こんにちは、弁理士の植田です。
今日は、海外にビジネスを展開する際に必ず押さえておきたい「知財感覚」の話です。


■えっ?まだ売ってないのに商標登録するの?

日本企業の方からよく聞かれるこの疑問。

「海外展開って、まず売ってみて、反応見てからじゃないんですか?」



でも実は──
アメリカや中国、ヨーロッパなどの多くの国では、
“売る前に知財を守る”のがスタンダードなんです。

たとえばアメリカでは、「ビジネス開始前の商標出願(Intent to Use)」が普通に行われます。
中国では、早く出願しないと「先に取られる」リスクがかなり高いのはご存じの通りです。


■なんでそんなに“先に守る”文化なの?

背景には、「知財=ビジネスの武器」という意識の違いがあります。

・アメリカ:特許や商標が“投資判断の基準”になる
・中国:権利の先取りが攻防の常識になっている
・欧州:デザイン保護(意匠)を含めて、知財制度が浸透している

対して、日本では「とりあえず売って、うまくいったら権利化」というスタイルが多い。
これは、“モノづくりの丁寧さ”を信じる文化や、“権利主張より品質”を重んじる価値観から来ているのかもしれません。


■ 「守る前に出した」日本企業の失敗も…

実際に、こんなケースを耳にします。

・ECサイトで海外販売を始めたら、すでにその名前が他社に商標登録されていた
・中国で展示会に出したら、製品デザインが模倣されていた
・欧州で商標を先に取られていて、ブランド名を変えざるを得なかった

これ、どれも“知財を守る前に売った”ことが原因です。


■ 海外展開では「守ってから売る」が基本!

海外に出るときは、
「売れるかどうか」よりも先に「守れるかどうか」を考える必要があります。

最低限、次のようなチェックをおすすめします。

・商標:対象国で先に取られていないか調査
・意匠(デザイン):コピーされそうな部分を権利化
・特許:プロダクトやシステムに“新しさ”があれば相談

そして、国によって制度や考え方が異なるので、「日本と同じ感覚」で動くと危険です。


●まとめ:「文化の違い」に気づけるかが、海外展開の分かれ道

日本では「知財=後回し」でも、海外では「知財=先回り」が当たり前。
この文化ギャップに気づいて対策できるかどうかが、
海外ビジネスを守るカギになります。

海外展開を検討されている方、すでに進めている方も、
ぜひ一度「知財の視点」からご相談ください!


📝 ご相談・お問い合わせはこちらからどうぞ!

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