スマホアプリ特許:機能 vs デザイン、どこまで守れる?
2025.10.04
こんにちは、弁理士の植田です。
アプリ開発に携わると、「この機能、特許取れないかな?」
「デザインが真似されないか心配…」と感じたことはありませんか?
結論から言うと、アプリにも特許や意匠で“守れる部分”があります。
ただし、「全部が守れるわけではない」というのも現実。
今回は、スマホアプリを守るうえで知っておきたい「特許」と「意匠」の違いと、
実際にどこまで守れるか?について、わかりやすく解説します。
1. 「機能」は“特許”で守る
アプリの仕組みや処理の流れなどの「機能面」は、
特許で守ることができます。
たとえば以下のようなものが対象になり得ます
・ユーザーの位置情報を使った自動マッチング機能
・決済や認証を含む業務フローの仕組み
・AIやアルゴリズムを使った自動分類機能
・UIの裏側で動く“データ処理”の手順や順序
重要なのは、「技術的課題を解決しているかどうか」。
ただの思いつきやアイデアだけではNGで、
プログラム的に実現している技術である必要があります。
■ ポイント
・見た目ではなく“中身”のロジックを守る
・一部のフローだけでも出願可能(例:認証ステップのみ)
・“アプリならでは”のユーザー導線も、技術的であれば対象に
2. 「見た目」は“意匠”で守る
アプリ画面のデザインや構成要素の配置など、
視覚的な部分は意匠(いしょう)登録で保護できます。
これまでは物理的な製品に限られていた意匠ですが、
現在では「画面意匠」としてアプリのUIも対象になっています。
たとえば
・ホーム画面のレイアウト
・操作パネルの構成
・ナビゲーションのアイコン配置
・独自性のある入力画面のデザイン
特に、BtoCアプリの「ブランドらしさ」が表れるUIは、
他社に模倣されやすいため、早めに意匠出願しておくと
差別化の武器になります。
■ ポイント
・“表示画面そのもの”の構成が対象(動的でもOK)
・一部画面のみでも出願できる(例:予約画面だけ)
・Webアプリ、SaaS管理画面なども対象になる場合あり
3. 「特許」と「意匠」は組み合わせが効果的
重要なのは、特許と意匠は役割が違うということ。
守る対象 | 特許 | 意匠 |
---|---|---|
機能・処理の流れ | ◯ | ✕ |
画面デザイン | ✕ | ◯ |
利用の独占 | ◯ | ◯ |
類似サービス対策 | 強い | 見た目に強い |
特許だけでは「真似してデザインだけ変えられる」可能性がありますし、
意匠だけでは「中身の仕組みをパクられる」こともあります。
つまり、両方を組み合わせて守るのが最も強い対策です。
4. 守れるかどうかの“判断タイミング”
アプリ開発初期(企画・設計段階)での相談がベストですが、
β版やプロトタイプがある段階でも出願は可能です。
ただし注意点として、
・一度リリース・公開してしまうと「新規性」が失われる場合あり
・まずは守れるかどうかだけでも早めにチェックするのが得策
アイデアの段階でも、弁理士に相談すれば“特許性”の有無をスクリーニングしてくれます。
■まとめ|あなたのアプリ、守れるところから守ってますか?
スマホアプリ開発はスピード勝負の世界。
だからこそ、「後からパクられた」「同じようなアプリが先に出た」とならないために、知財の視点が必要です。
・機能や仕組み → 特許で守る
・デザインや画面 → 意匠で守る
・名前・ロゴ → 商標で守る(これも忘れずに!)
知財は、“先に動いた者勝ち”の世界。
中小企業でも、1人開発者でも、スタートアップでも、
今あるアイデアが“資産”になるかもしれません。
📩 アプリ開発に関する知財相談、随時受付中!
「この機能、特許になる?」「画面デザイン、意匠登録したい」など、
具体的な内容でもお気軽にご相談ください。
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