【副業から法人化へ】屋号やブランド名を守るタイミングとは？
2025.10.22
〜「あとで取ればいい」は危ない!? 商標の“先取りリスク”〜
こんにちは、弁理士の植田です。
副業が軌道に乗ってきて、いよいよ法人化も視野に入れている…
そんなタイミングで見落としがちなのが、
屋号やブランド名の“権利化”です。
「名前はすでに広まってるし、今さら誰かに取られないでしょ？」
「法人化してから出願すればいいんじゃない？」
と思っている方、それ、危険です。
今回は、副業から法人化するタイミングで
商標トラブルを防ぐために知っておくべきことを、実務目線で解説します。
1. 名前は“使っているだけ”では守れない
屋号やブランド名をすでにSNSやECサイト、
チラシなどで使っていても、自動的に守られるわけではありません。
商標は「登録した人が勝ち」という先願主義が原則。
つまり、あなたがどれだけ先に使っていても、
後から第三者に商標登録されてしまえば負ける可能性があるのです。
実際に起こっているのが、
・法人化前の屋号を第三者が出願していた
・ECモールで「同じ名前だから出品できません」と言われた
・ブランド名を変えざるを得なくなり、集客・販促が水の泡に
といった事例です。
2. 「法人化してから」では遅い場合も
よくあるのが、法人化したあとに
「あのブランド名、商標取っておこう」と思って調べたら、
すでに他人に登録されていたというケース。
しかも登録していた相手がまったく関係ない業者であっても、
法的にはその人の権利。
こちらが後出しだと、商標を使えなくなるリスクが出てきます。
特に最近は、副業ブームとネーミングの被りが増えており、
見た目が似ているだけでアウトになることも。
3. 商標出願のベストタイミングとは？
結論から言えば、
法人化「前」でも、出願はできるし、しておいた方がいい。
個人名義でも商標出願は可能です。
その後、法人化した際に名義変更（権利の譲渡）をすれば問題ありません。
【おすすめのタイミング】
・サービスや商品名を公開する前
・SNSアカウントやLPなどで“告知”を始める前
・法人登記・開業届を出す前後
このあたりで商標調査＋出願をしておくのが、
“先取り”されないための最低限の防衛策になります。
4. 名前を変えるコストの方が高い
商標出願にはもちろん費用がかかりますが、
後から名前を変えるコストは、それ以上です。
・ドメイン／SNSアカウントの再取得
・名刺・チラシ・パッケージの刷り直し
・顧客への説明と信用の損失
・SEO・SNSの再構築
など、事業が育ってからの変更は、
金額以上にブランドへのダメージが大きいのです。
5. 屋号・ブランド名が被っていないか確認する方法
まずは無料でできるチェックから始めましょう。
・特許情報プラットフォームで類似商標の有無を調べる
・GoogleやSNSで同名サービスがないか調査
・気になる場合は、弁理士に事前調査を依頼
出願の前に「似た名前がすでに登録されていないか」のチェックが最重要です。
最後に：屋号やブランド名は、ビジネスの“看板”
副業から法人化へと進む今こそ、“名前を守る”タイミング。
名前が先に取られていたことで、
事業がストップすることさえある時代です。
商標出願は、ブランドの未来を守る「保険」でもあり、
「攻めの資産形成」でもあります。
「いつか出そう」と思っていた方こそ、
今がその“いつか”かもしれません。
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