【先に出した者勝ち?】商標の“先願主義”をわかりやすく解説
2025.10.28
こんにちは、弁理士の植田です。
「いい名前を思いついたから、事業を始めよう」
「名刺も作ったし、SNSアカウントも取った」
…ちょっと待ってください!
もし、その名前が他人に“先に”商標登録されていたら、
あなたが使えなくなる可能性があるんです。
この背景にあるのが、商標制度の大原則——先願主義(せんがんしゅぎ)。
この記事では、「そもそも先願主義ってなに?」という初歩から、
どんなリスクがあるのか、どう対策すればいいのかを解説します。
◆ 商標の“先願主義”とは?
商標制度では、「先に出願した人が権利を得る」というルールがあります。
これは「誰が最初に使ったか」ではなく、
「誰が先に出願(申請)したか」が重要という考え方です。
たとえば、ある人が「SORA COFFEE」という名前でカフェを始め、
地元で少しずつ知名度が上がってきたとします。
しかし、別の誰かがその名前を見つけて先に商標登録をしてしまったら…。
元のカフェがその名前を使えなくなることもあり得るのです。
◆ 先願主義がもたらす“よくあるトラブル”
① 名前を“乗っ取られる”
ブランド名やサービス名を使って実績を積んでいたのに、
第三者に商標を先取りされ、使うなと言われるケース。
これはECサイトや飲食業、講座名などで特に多く見られます。
② ロゴや屋号が登録できない
デザイナーに依頼してロゴを作ったのに、
その名前がすでに登録済みで、出願しても拒絶されてしまう例。
③ ネーミング変更でコストと信用が失われる
ドメインやチラシ、看板まで準備した後に、
「その名前は使えません」となってしまい、
全部やり直しになるということも。
◆ 「使っていれば大丈夫」は通じない
商標法には、“使用の実績”があれば権利を得られる場面
も一部ありますが、
基本は「登録した者が正当な権利者」として扱われます。
つまり、使っていた事実よりも出願日が優先されるのです。
この点で、特に副業やスタートアップ、スモールビジネスの方は要注意。
◆ どうすれば防げるの?先願主義への対策3つ
① 名前を決めたら、まず検索
事業やサービス名を決めたら、「J-PlatPat」という特許庁の無料データベースで検索しましょう。
先に出願されていないか、簡易チェックができます。
② SNSやドメインより先に“商標出願”
.com や Instagram のIDを取る前に、
商標を取れるかを優先して検討することがベストです。
③ 不安なら専門家に相談を
「似た名前があって迷っている」「ロゴも含めて守りたい」
そんなときは、早めに弁理士などの専門家に相談しましょう。
後からの修正は大きな手間とコストがかかります。
◆ まとめ:ネーミングは“先に出した者勝ち”の時代
ビジネスにおいて、名前は“信用”と“ブランド”の核です。
それを守るためには、単に思いついただけでなく、
先に出願して“自分のもの”にすることが必要不可欠。
「こんなに使っているのに登録できないなんて…」
そんな後悔をしないためにも、
思い立ったら早めの商標出願、心がけてみてください。
📝 ご相談・お問い合わせはこちらからどうぞ!
📌 YouTubeサブチャンネル開設!
「小さな会社のための知財戦略」をテーマに、わかりやすく解説しています
▶︎ チャンネルを見る
📌 ミライエ国際特許事務所の公式YouTubeチャンネル
事務所紹介や知財に関する最新情報を配信中
▶︎ 公式チャンネルはこちら
📌 ミライエの公式Instagramでも日々の活動を発信中!
▶︎ Instagramを見る