【逆に取られる!?】OEM先が日本で商標出願していた…という悲劇を防ぐ方法
2025.10.30
―― 商標の「出願順」ルールと、その先取り対策 ――
こんにちは、弁理士の植田です。
近年、東南アジアや中国など海外のOEM先で商品を製造し、
日本国内で販売するビジネスモデルは当たり前になってきました。
しかしその裏で、「OEM先に自社ブランドを商標登録されてしまった」
というトラブルが増えているのをご存じでしょうか?
「うちのブランド名、実は日本で登録されてたんです。…OEM先に。」
これは実際にあった相談です。
自社ブランドだと思っていた名前が、先に出願されていたというケース。
今回は、そんな“逆転現象”を防ぐために知っておくべきポイントを解説します。
1. 商標は「出願順」で決まる。どれだけ使ってても、先に出した者勝ち
商標制度の基本ルールは「先願主義」。
つまり、「先に出願した人が権利を得る」仕組みです。
「先に使っていたのはうちだ」
「うちのブランドとして広く認知されている」
――そう主張したくなる気持ちはわかりますが、
商標においては“先に出願した者が勝つ”のが原則。
そのため、OEM先が“こっそり”日本で出願してしまっていた場合、
たとえ元の発案者があなたでも、取り戻すのは極めて困難になります。
2. OEM先が勝手に出願する理由とは?
なぜOEM先が、あなたのブランドを勝手に出願してしまうのか。
大きくは以下の3つが理由です。
・自分たちが販売する権利を確保したい
→ 将来的に直販ビジネスを視野に入れている可能性があります。
・商標の重要性を理解していない
→ 善意のケースもあり、「念のため出願しといた」と言われることも。
・単純に先回りしてコントロール権を握りたい
→ これは悪意のあるケース。取引交渉のカードとして使われる場合も。
あなたが“育ててきたブランド”が、実は他人の権利になっていた。
そんなショッキングな事態が、決して他人事ではない時代です。
トラブルを防ぐための「3つの先手」
このようなトラブルを未然に防ぐには、
以下の3つの対応が非常に有効です。
① 自社で商標出願を済ませておく
何より大事なのは“自分で出願しておくこと”です。
「使ってるから大丈夫」ではなく、
「出願してるから大丈夫」の状態を作りましょう。
日本国内で販売しているブランド名、サービス名、
ロゴなどは、必ず自社名義で商標出願しておくのが鉄則です。
② 契約で“商標の取扱い”を明確にする
OEM先と製造契約を結ぶ際に、
商標の使用や登録に関する条項を入れることが重要です。
たとえば――
「本ブランドに関する商標は、発注者が所有すること」
「製造委託先が商標を出願しないこと」
などの条文を入れておくと、後からの争いを防ぎやすくなります。
③ 出願状況を定期的にウォッチする
意外と知られていませんが、他人が勝手に自社ブランド
を出願していないかを調べることも可能です。
特許庁の「J-PlatPat」という無料ツールを使えば、
日本国内の出願情報を検索できます。
定期的にチェックすることで、リスクの芽を
早期に摘むことができます。
■まとめ:商標は“コスト”ではなく“リスク管理”の一環
商標出願は、「費用がかかるから後回し」という声をよく聞きます。
ですが、万が一OEM先や第三者に先に取られた場合、
ビジネス全体が揺らぐリスクもあるのです。
・商標は早い者勝ち
・自社で出願しないと守れない
・契約と監視の両面から先手を打つ
この3点をぜひ意識してください。
■ご相談受付中
「海外の製造先との契約に入れるべき条項は?」
「うちのブランド、ちゃんと守れてる?」
「勝手に出願されていないか不安…」
そんな疑問があれば、お気軽にご相談ください。
ブランドは、“守ってこそ育つ”ものです。
📝 ご相談・お問い合わせはこちらからどうぞ!
📌 YouTubeサブチャンネル開設!
「小さな会社のための知財戦略」をテーマに、わかりやすく解説しています
▶︎ チャンネルを見る
📌 ミライエ国際特許事務所の公式YouTubeチャンネル
事務所紹介や知財に関する最新情報を配信中
▶︎ 公式チャンネルはこちら
📌 ミライエの公式Instagramでも日々の活動を発信中!
▶︎ Instagramを見る