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【経営者のための知財教養】「発明=出願」だけでは不十分な理由

2026.02.13

こんにちは、弁理士の植田です。

「新しい技術ができた。よし、特許出願しよう。」

これは間違いではありません。
しかし、“発明=出願”という発想だけでは、経営としては不十分です。

知財を経営に活かせる会社と、取って終わりの会社。
その差は、どこにあるのでしょうか。


① 出願は“手段”であって“目的”ではない

特許出願はゴールではありません。
本来の目的は、次のような経営的効果の実現です。

・競合を排除する
・価格競争を回避する
・交渉力を高める
・企業価値を上げる

つまり、事業を有利に進めるための手段が特許です。

ところが、「とりあえず出す」だけでは、
事業との接続が弱い“自己満足特許”になってしまいます。


② 出願前に考えるべき“3つの経営視点”

経営者が持つべき知財教養とは、法律知識ではありません。
重要なのは、次の3つの問いです。

1. この発明は“どの事業”を守るのか?

主力事業なのか、新規事業なのか。
5年後も残っているビジネスなのか。

事業と連動していない出願は、維持費だけがかかります。


2. 競合はどこを攻めてくるか?

自社が強い部分ではなく、
競合が真似しやすい部分こそ出願対象にすべきです。

発明そのものではなく、
「ビジネス上、抑えるべきポイント」を見極める視点が必要です。


3. 公開して守るか、非公開で守るか?

特許は公開制度です。
出願から1年半後には、技術内容が公開されます。

・真似されても権利で止められるなら特許
・真似されにくいなら営業秘密

という選択肢もあります。

“出願するかどうか”も、経営判断なのです。


③ 「特許を取ったのに弱い会社」の共通点

実務で感じるのは、
特許をたくさん持っていても、経営に活かせていない会社があるということ。

共通点は明確です。

・事業戦略と知財戦略が分離している
・経営会議で知財が議題に上がらない
・出願数が目的化している

これでは、どれだけ件数があっても“経営資産”にはなりません。


④ 経営者に必要なのは「知財の教養」

弁理士に任せること自体は問題ありません。
ただし、丸投げではなく“判断軸”を持つことが重要です。

・どこを守るか
・何を公開するか
・どの市場で戦うか
・どのタイミングで出すか

この意思決定は、社長にしかできません。


⑤ 出願の前に、戦略を描く

理想の流れはこうです。

1.事業戦略を描く
2.競合状況を把握する
3.守るポイントを決める
4.その上で出願する

順番を間違えると、
“特許はあるけど勝てない”という状態になります。


    ■まとめ

    「発明=出願」ではありません。

    正しくは、

    発明 → 戦略検討 → 出願(または非公開) → 活用

    です。

    知財は法律の話ではなく、経営の話です。
    件数よりも、「どこを守るか」という意思決定の質が会社の未来を決めます。

    経営者こそ、最低限の知財教養を持つ。
    それが、これからの時代の競争力につながります。


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