【海外展開前チェックリスト】商標・意匠の“国別リスク”を比較
2026.02.16
こんにちは、弁理士の植田です。
「日本では商標を取っています」
「国内で意匠登録も済んでいます」
──それだけで、海外販売も安心でしょうか?
答えは、NOです。
知財は“国ごと”に権利が発生する仕組み。
日本で守れていても、海外では無防備というケースは珍しくありません。
今回は、海外展開前に必ず確認したい「商標・意匠の国別リスク」について整理します。
■なぜ“国別”に考える必要があるのか?
知的財産権は、原則として属地主義。
つまり、
・日本の商標 → 日本国内だけ有効
・日本の意匠 → 日本国内だけ有効
海外で販売するなら、その国での権利取得が必要です。
越境ECや海外クラウドファンディングが当たり前になった今、
「知らないうちに海外進出している」状態も増えています。
■商標の国別リスク
① 先願主義の徹底度
多くの国は「先に出願した者勝ち」。
特に中国では、
“先取り出願”のリスクが非常に高いと言われています。
日本で有名になってから海外展開を考えると、
すでに現地で他人に登録されている──というケースも。
② 使用主義の国もある
アメリカなどは「使用主義」の考え方を採用。
出願後も、
実際の使用証拠の提出が求められます。
単に“取るだけ”では足りず、
実際のビジネス運用まで設計する必要があります。
③ 指定商品・役務の範囲
国によって、
・記載の厳格さ
・審査の基準
・拒絶理由の傾向
が微妙に異なります。
日本で通ったから海外もOK、とは限りません。
■意匠(デザイン)の国別リスク
① 保護対象の違い
国によって、
・GUI(画面デザイン)の扱い
・部分意匠の可否
・画像デザイン単体の保護
など、制度差があります。
UI・UXを武器にしている企業ほど要注意です。
② 公開前主義の厳しさ
意匠は特に、
「公開前に出願しているか」が重要。
欧州などは原則として厳格ですが、
一定期間のグレースピリオドがある国もあります。
しかし、
国ごとに要件が異なるため、
“日本基準の感覚”で動くと危険です。
③ 模倣品対策の実効性
登録しても、
・税関で止められるか
・差止請求が機能するか
・訴訟コストはどれくらいか
実効性は国ごとに違います。
“取ること”と“守れること”は別問題です。
■海外展開前チェックリスト
海外進出を検討しているなら、最低限以下を確認しましょう。
✔ どの国で販売・製造・展示するか
✔ その国で商標出願済みか
✔ ロゴと文字、両方出しているか
✔ パッケージやUIは意匠で守れているか
✔ すでに他人に登録されていないか調査済みか
✔ 現地代理人との連携体制はあるか
これを怠ると、
・現地で販売停止
・ブランド名変更
・OEM先に商標を取られる
・模倣品に対抗できない
といったリスクが現実になります。
■国別戦略は「優先順位」がカギ
すべての国で一気に出す必要はありません。
重要なのは、
・市場規模
・製造拠点
・模倣リスク
・今後の成長計画
を踏まえた戦略的な優先順位付け。
特に、
・中国(製造・模倣対策)
・アメリカ(市場規模)
・欧州(広域保護)
は検討対象になるケースが多いです。
■“売れてから”では遅い
海外でヒットしてから出願しようと思っても、
その時点で先取りされている可能性があります。
海外展開は、
「販売戦略」と同時に
「知財戦略」も動かすべきです。
■まとめ
海外展開で成功する企業は、
✔ 市場調査をする
✔ パートナーを選ぶ
✔ そして知財も押さえる
この3つを同時に進めています。
商標と意匠は、
単なる法的手続きではなく、
海外ブランド戦略の土台です。
「うちはまだ小さいから」ではなく、
「これから伸ばすからこそ」考える。
海外に一歩踏み出す前に、
一度、国別リスクを整理してみませんか?
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