【えげつない】アメリカの特許訴訟ビジネスのリアル〜なぜアメリカでは特許訴訟がこんなに多いのか?〜
2025.06.01
アメリカの特許訴訟、多すぎん…?
こんにちは、弁理士の植田です。
アメリカのINTA(国際商標協会)に参加した流れで、現地の知財関係者や企業法務の方ともいろんな話をしてきたんですが──
やっぱり話題になるのが、
「アメリカ、特許訴訟、多すぎ問題」。
なぜこんなにも訴訟が多いのか?
しかも中には、「ビジネスというより、もはや戦略としての訴訟」もちらほら。
今日は、そんなアメリカの“特許訴訟ビジネス”の実態と、
日本のスタートアップが「他人事ちゃうで」と思っておくべき視点を3つに分けて紹介します!
① 特許トロール(NPE)の存在がデカすぎる
アメリカの特許訴訟でよく出てくるのが、NPE(Non-Practicing Entity)という存在。
要は、
▶ 製品やサービスを作ってない
▶ けど特許だけを保有してる
▶ そして「使ってるやろ?」と他社に訴訟を仕掛ける
というスタイル。
俗に「特許トロール」とも呼ばれます。
えげつないポイント:
- 相手に勝つより、和解金で回収するのが目的
- 相手の国や規模関係なく、訴訟を“数撃ちゃ当たる”で仕掛けてくる
- 地裁も“原告寄り”なところがある(テキサス州東部とか有名)
つまり、特許がビジネスの武器というより、請求書発行ツール化してるケースもあるわけです。
② 防御コストがシャレにならん(でも逃げられへん)
アメリカでは、訴訟が起きるとそれだけで莫大なコストがかかります。
だいたいこのくらい…
- 弁護士費用:数千万円〜数億円
- 対応期間:1年〜3年以上
- 最悪、損害賠償+差止命令(販売停止)
つまり、勝っても負けても地獄。
だから企業によっては「とりあえず数千万円払って和解しよう…」ってケースも多い。
で、その“和解金ビジネス”がまた次の訴訟を呼ぶ…というループがあるんです。
③ 日本企業・スタートアップも例外やない
「アメリカの話でしょ?関係ないわ」って思う方もいるかもしれませんが…
実は、日本のスタートアップや中小企業が「米国ECに出した」「SaaSで海外ユーザーが増えた」タイミングで訴えられるケース、年々増えてます。
たとえばこんな例:
・Amazon.comに商品を出した → 特許権侵害の申し立てでアカウント凍結
・米国ユーザー向けにアプリを提供 → 特許使用の疑いで警告書
・VC投資を受けたら → 「金があるうちに訴えておけ」的なNPEのアプローチ
つまり、「海外で売る」ってことは、その国の知財リスクを背負うってことなんです。
まとめ:「防ぐ」「避ける」ではなく、“戦略として備える”のが大事
アメリカの特許訴訟ビジネスを見ると、
「知財は守るもの」から「攻めと防御の道具」へと完全に進化してると感じます。
だからこそ──
・ 自社で出せる特許は早めに出しておく(防衛特許)
・ 商標・特許のクリアランス調査を“海外でも”やっておく
・ 出願戦略を、事業展開エリアとセットで考える
このあたりを、ビジネス初期から“当たり前の戦略”として考えることが、日本企業にも必要やと改めて感じました。
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