【注意】その発明、誰のもの?―「職務発明」をめぐるトラブルを防ぐには?
2025.07.10
こんにちは、弁理士の植田です。
今日は、企業の中で生まれた“発明”は誰のものか?という、「職務発明」の話を取り上げます。
このテーマ、実はとても大事で、出資・M&A・IPO前の知財デューデリで必ず見られる項目でもあります。
中小企業でも、しっかり理解しておかないと「トラブルのタネ」に…。
■職務発明って何?
「職務発明」とは、従業員が業務として行った発明のこと。
たとえば…
・開発部の社員が業務中に考えた新技術
・エンジニアが業務の一環として作ったアルゴリズム
・製造現場の作業員が提案した設備の改善点 など
法律では、基本的にこのような発明は「会社に帰属する(譲渡される)」というルールになっていますが…
■トラブルになるポイント
実際の現場では、こんな問題がよく起きます。
① 契約・就業規則が整っていない
→「この発明、ホンマに会社のもん?」と、後から争いになるケース。
② 名義が社員個人のまま
→ 出願人が「会社」ではなく「発明者個人」になっていた…という凡ミス。
③ 退職後にモメる
→ 退職した社員が「これ、僕の発明です」と主張してくるケース。
● 特にスタートアップでは、「創業メンバーが発明者」になってる特許で混乱することも多いです。
■対策①:「職務発明規定」はしっかり整える!
・就業規則や雇用契約書に職務発明に関する条項を入れる。
・発明をした場合の報奨金制度や手続きも明記しておく。
→ このあたりを整備しておけば、トラブルはグッと減ります。
■対策②:出願・権利化は「会社名義」で!
特許出願をする際、出願人を法人名義にしておくことが非常に重要です。
(発明者は「個人名」で記載されますが、出願人=権利者は「会社」にしておく)
→ VCや投資家もここはしっかり見ています!
■対策③:発明報告フローを作っておく
・社員が新しい発明をしたら、所定の様式で報告してもらう。
・管理部門や経営陣が内容を確認し、出願要否を判断。
●「発明が出たことを誰も把握してなかった…」という事態を防げます。
●まとめ:「発明」は“会社の資産”として守る体制づくりを
せっかくの技術やアイデアも、
誰のものかあいまいだと、ビジネス上のリスクや価値の毀損につながります。
とくに、技術系スタートアップや製造業の中小企業では、
「職務発明=将来の競争力」になる可能性が大きい。
一度、自社の契約・就業規則・出願体制を見直してみるのがおすすめです。
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