【中国人起業家向け】日本で特許を取るときの3つの注意点
2025.08.16
こんにちは、弁理士の植田です。
当事務所には、日本で起業された中国人の方や、
中国企業の日本進出をサポートする案件が多くあります。
特許・商標・意匠といった知的財産は、
日本市場で事業を安定的に続けるための大事な武器ですが、
特許の取得には「中国とは違うルール」や「文化の違い」による落とし穴があります。
今回は、中国人起業家の方が日本で特許を取るときに
特に注意してほしい3つのポイントを解説します。
(1) 言語の壁は“専門翻訳”でクリアする
日本の特許出願は、日本語での明細書(発明の説明)が必須です。
機械翻訳や一般の翻訳者では、専門的な表現や法律的な
ニュアンスが正確に伝わらないことがあります。
例えば、
・技術的範囲を広く取るための表現
・日本特許庁が好む言い回し
・将来の権利行使で有利になる書き方
これらは特許専門の翻訳・弁理士によるチェックがないと抜け落ちてしまいます。
特に中国語→日本語は、単語の意味が近くても法律上は
全く違う効果になることがあるので注意が必要です。
● アドバイス:出願前から、弁理士+専門翻訳チームを入れて準備しましょう。
(2) 出願のタイミングは“市場公開”より前に
中国と同様、日本も先願主義(早く出した人が勝ち)の国です。
発明を展示会やネットで公開した後に出願すると、原則として特許は取れません。
よくある失敗パターン
・クラウドファンディングで公開 → 出願が間に合わず
・営業先に説明 → そこから情報が広まり、他人に先に出願される
日本では「新規性喪失の例外」という制度もありますが、条件や期間が厳しいため、
基本は“公開前に出願”が鉄則です。
● アドバイス:製品発表や販売の1〜2か月前には出願準備を始めましょう。
(3) 発明の証拠は“日付つき”で残す
特許紛争や共同開発の場面では、「誰がいつ発明したか」が争点になります。
中国国内ではメールやチャット記録を証拠にすることが多いですが、
日本ではより形式的な証拠が重視されます。
有効な証拠例
・発明メモ(発明ノート)に日付と署名
・試作品の写真・動画(タイムスタンプ付き)
・実験データや図面の履歴
・クラウド保存の履歴ログ
こうした証拠を日常的に残しておくことで、
発明の権利者であることを証明しやすくなります。
● アドバイス:開発中からGoogle DriveやDropboxなどで日付管理をしておくと安心です。
● まとめ
日本で特許を取るときに中国人起業家が注意すべき3つのポイントは…
1.日本語明細書は専門翻訳+弁理士チェックで精度を高める
2.市場公開前に出願準備を完了する(先願主義の徹底)
3.発明の証拠を日付つきで保管し、権利紛争に備える
特許は一度取れば長期間(最長20年)守れる資産ですが、
最初の一歩を間違えると大きな損失につながります。
「日本で特許を取りたいけど、どこから始めればいいかわからない」
という方も、ぜひご相談ください。
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