【従業員発明を守る】“職務発明規程”を整備していないとどうなる?
2025.08.21
こんにちは、弁理士の植田です。
会社で新しい技術や製品を開発するとき、実際にそのアイデアを生み出すのは「従業員」ですよね。
ここで大事になるのが、職務発明をめぐるルール=「職務発明規程」です。
「まだうちの会社はそんなに発明もないし…」と軽視されがちですが、規程を整備していないと、思わぬトラブルに発展することがあります。
■ 職務発明ってなに?
職務発明とは、
従業員が 会社の仕事として行った研究・開発から生まれた発明 のこと。
例えば、
・エンジニアが新しい機械部品を考えた
・デザイナーが独自のUIデザインを工夫した
・製造現場のスタッフが改善アイデアを出した
これらはすべて「職務発明」に当たる可能性があります。
■ 規程がないとどうなる?
1. 発明の権利が「従業員本人」に帰属する
法律上は、発明した人=従業員に特許を受ける権利が帰属します。
つまり、会社のものではないのです。
● 規程がなければ、従業員が独自に特許を出願してしまうことも…。
2. 会社が自由に使えなくなるリスク
従業員に権利がある場合、会社がその発明を使うには、本人の同意が必要です。
もし退職後に別会社へ移ったら?
発明を他社に持っていかれるリスクも十分にあり得ます。
3. 裁判トラブルに発展することも
過去には、大企業でも「従業員が発明した技術を会社が利用した」ことを巡って、数億円規模の補償金を請求された裁判がありました。
中小企業でも、金額は小さくても同じ構造のトラブルは起こり得ます。
■ 職務発明規程で決めるべきポイント
職務発明規程を整備することで、
「発明の権利は会社に承継される」ことを明確にできます。
ポイントは以下の3つ。
1.権利の帰属先
発明をしたら、特許を受ける権利は会社に譲渡されると定める。
2.相当の利益の還元
従業員に正当なインセンティブを支払う仕組みを作る(報奨金・成果給など)。
3.手続きルール
発明の報告方法、承認フロー、社内での扱いを明文化する。
■ 中小企業・スタートアップこそ早めに!
「うちは少人数だから大丈夫」と思われがちですが、
むしろ少人数だからこそ、誰が考えた発明かが問題になりやすいんです。
特にスタートアップでは、
・創業メンバーの誰が出したアイデアか
・出資者や共同研究先との関係はどうするか
といった点でも職務発明規程が重要になります。
■ まとめ
・規程がないと、発明の権利が従業員本人のものになってしまう
・会社は自由に使えず、退職・転職時のリスクも大きい
・職務発明規程を整備して、権利の帰属・報酬・手続きを明確にしておくことが必須
📌 当事務所では、中小企業向けのシンプルな職務発明規程づくりから、
スタートアップ・研究開発型企業向けの本格的な規程整備までサポートしています。
「まだ整備していない」「昔のままで古いかも」という場合は、ぜひ一度ご相談ください。
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