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【実務の裏側】弁理士が見た“ビジネスモデル特許”審査のポイント

2025.08.28

こんにちは、弁理士の植田です。

最近ご相談が増えているのが、「ビジネスモデル特許」
ネットサービスやアプリ、フィンテック、物流、マッチングサービスなど、
仕組みや方法をどう保護するか?というニーズはますます高まっています。

ただし、実務上は一筋縄ではいきません。
今日は、弁理士の目から見た「審査でよく問われるポイント」をご紹介します。


1. 「単なるアイデア」と「技術的特徴」の線引き

ビジネスモデル特許で最も多い拒絶理由は、
「それは単なるビジネスのやり方に過ぎません」という指摘。

👉 例えば、

・「お客様にクーポンを渡して再来店を促す仕組み」
これは残念ながら「ビジネスのルール」で終わってしまいます。

一方で、
・「顧客データをAIで解析し、来店確率に応じて自動でクーポンを発行するシステム」

といったように、技術的手段(AI・ネットワーク・サーバ処理など)が組み込まれると特許の可能性が広がります。


2. 既存技術との差別化(進歩性)

審査では「すでに似たものが公開されていないか?」を必ずチェックされます。
ビジネスモデルは世界中で考えられているので、先行技術調査が超重要です。

実務では、
・日本の特許公報だけでなく、米国・中国の特許も調べる
・論文やプレスリリースなどの“非特許文献”も確認する

こうした調査を怠ると、出願後に「すでに似た仕組みがありました」と指摘され、時間もコストも無駄になってしまいます。


3. 請求項の書き方が勝負を分ける

ビジネスモデル特許は「文章」で仕組みを定義します。
そのため、請求項の表現が広すぎても狭すぎてもNG

・広すぎる → 「抽象的すぎる」と拒絶
・狭すぎる → 登録はできても実際の事業を守れない

👉 実務では、「本当に守りたい仕組み」を経営者と一緒に絞り込み、

・コア部分 → 広めにカバー
・実施形態 → 補助的に具体例を記載
といったバランスを取ることが多いです。


4. 出願のタイミングも重要

ビジネスモデルは変化が早く、ライフサイクルも短い分野です。
審査に時間がかかりすぎると、登録された頃には市場が動いてしまうことも…。

👉 そこで活用されるのが、

早期審査制度(実施中や補助金申請で急ぐ場合)
外国出願戦略(最初から海外市場を狙う場合)

スピード感を持って動くことが、事業との連動には欠かせません。


● まとめ

弁理士の実務から見ても、ビジネスモデル特許は難易度が高い分、効果も大きい分野です。

・「単なるアイデア」と「技術的特徴」の区別をつける
・世界レベルでの先行調査をする
・守りたい範囲を的確に文章化する
・出願タイミングを誤らない

これが、審査を突破するためのカギになります。


📌 当事務所では、
「このアイデア、特許になる?」という段階からのご相談も受け付けています。
実務の現場で培ったノウハウをもとに、審査を見据えた戦略的な出願をサポートします。

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