【IPランドスケープ実践】特許情報で市場規模と競合強度を読み解く手順
2025.09.08
こんにちは、弁理士の植田です。
「市場分析=マーケティングの領域」と思われがちですが、
実は特許情報を使うことで、数字や戦略に説得力を加えることができます。
今日は IPランドスケープの実践編 として、「市場規模」と「競合強度」
を読み解く基本的な手順をご紹介します。
1️⃣ 特許情報を“市場規模”の指標に使う
市場の大きさを直接特許から測ることはできません。
しかし、特許出願件数や出願人の分布を見ることで、
どの分野に投資が集まっているかを把握できます。
・出願件数が急増している分野 → 市場が拡大しているサイン
・特定企業だけが多数出願 → まだニッチだが独占の可能性あり
・多国籍企業が複数参入 → グローバル市場として成長している可能性
👉 例:AI×医療機器の特許件数が急増している → 技術トレンドに乗った市場が広がりつつある。
2️⃣ 競合強度を“特許の広さ・深さ”で測る
競合の強さを測るときは、単純に件数を見るだけでは不十分です。
見るべきポイントは次の3つ。
・広さ(カバー範囲):製品やサービスのどの部分を特許で押さえているか
・深さ(連続性):同じ技術テーマで継続的に出願しているか
・地域(国際展開):出願国が多い=グローバル戦略を意識している
👉 例:ある企業が「UI」「バックエンド」「データ処理」の複数層で特許を押さえている場合、単純な模倣は困難=参入障壁が高い。
3️⃣ 実践ステップ|分析の流れ
1.技術テーマを定義
例:「リモート診断 × AI」など具体的なキーワード設定。
2.特許データを収集
特許庁DBや有料ツールを活用し、出願件数・出願人を抽出。
3.マッピング
件数の推移をグラフ化 → 市場成長度を把握。
競合ごとの出願分布をマップ化 → 競合強度を把握。
4.事業戦略に落とし込む
・市場拡大が見える分野 → 先行投資を検討
・競合が弱い部分 → 差別化のチャンス
・競合が強固な部分 → 協業やライセンス戦略を検討
4️⃣ “市場規模”と“競合強度”を組み合わせる
最後に重要なのは、これらを 事業計画や経営判断につなげること です。
・市場規模が大きい × 競合強度が弱い → 積極的に参入すべき領域
・市場規模が小さい × 競合強度が強い → 投資優先度を下げる領域
・市場規模が大きい × 競合強度が強い → 連携・提携でポジションを確保
👉 こうして「どこに勝負するか」を地図のように見える化するのが、IPランドスケープの価値です。
●まとめ
IPランドスケープを実践するときは、
・特許件数の推移 → 市場規模の目安
・出願の広さ・深さ → 競合強度の指標
・それをマッピングして事業戦略に反映
この流れで分析するのが基本です。
知財を「守る」だけでなく「攻め」に使うには、
こうしたデータの見方を身につけることが不可欠です。
📌 当事務所では、中小企業・スタートアップ向けのIPランドスケープ分析サポート を行っています。
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