【フィンテック事例あり】決済・融資サービスで注目されるビジネスモデル特許とは?
2025.09.25
こんにちは、弁理士の植田です。
ここ数年で急成長している分野のひとつがフィンテック(FinTech)。
金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせたサービスで、
決済アプリやネット融資、資産運用ツールなど、私たちの生活に欠かせないものとなっています。
そんなフィンテック業界で、今注目されているのが「ビジネスモデル特許」です。
本記事では、
・フィンテックで特許が取れるって本当?
・どんな仕組みが特許になるのか?
・実際の登録事例は?
・ビジネスモデル特許を取るメリットと注意点
について、わかりやすく解説します。
💡 フィンテック × 特許=「ビジネスモデル特許」
まず前提として、特許というと「ハードウェアや機械の発明」
のイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし、現代では「ソフトウェア」「仕組み」も、
一定の条件を満たせば特許として認められます。
その代表が、ビジネスモデル特許(BM特許)。
これは、新しいビジネスの仕組みや手法を、ITやシステムと
組み合わせることで、技術的アイデアとして特許化するものです。
■ 例えばどんなフィンテック技術が特許になる?
以下のような「課題を技術で解決している仕組み」は、特許になり得ます。
フィンテック分野 | 特許対象の例 |
---|---|
キャッシュレス決済 | 顧客属性に応じて決済手数料を自動調整する仕組み |
ネット銀行・融資 | AIが申請者の信用スコアをリアルタイムで算出し、与信を判断 |
ブロックチェーン | トランザクションの改ざん防止に関する独自アルゴリズム |
個人資産管理 | 自動で最適ポートフォリオを生成する金融アプリ |
サブスク課金 | 収益回収リスクを低減する課金タイミング調整システム |
つまり、「これまで人がやっていた判断・手続き」を、
技術的手段で効率化・自動化するアルゴリズムや仕組みであれば、
特許の対象になる可能性があります。
■【実例紹介】日本のフィンテック系特許事例
🔹事例①:後払い決済における信用スコア管理
・概要:与信管理をリアルタイムで行い、限度額や支払い方法を自動で調整
・効果:金融リスクを低減し、審査工数を最小化
🔹事例②:QRコード決済の不正防止アルゴリズム
・概要:一定の動作パターンに基づいて、なりすましや盗用をリアルタイム検知
・効果:不正利用のリスクを低減し、セキュリティ性を高める
🔹事例③:中小企業向けオンライン融資モデル
・概要:取引履歴・POSデータ・SNSデータを統合解析して与信スコアを構築
・技術要素:ビッグデータ処理+スコアリングAI
⚠️ なぜ「アイデアだけ」では特許にならないのか?
日本特許庁や欧州特許庁では、「単なるビジネスアイデア」は
特許になりません。
特許になるためには、
・技術的課題が存在していて
・それを技術的手段で解決しており
・コンピュータ等によって実現される構成
である必要があります。
例えば、
×「ネットで与信をする仕組み」 → 抽象的で不可
●「○○データを用いたAIスコアリングシステム」→ 技術的具体性があればOK
■ フィンテック企業がビジネスモデル特許を取るメリット
メリット | 内容 |
---|---|
① 参入障壁を築ける | 仕組みを真似されたときに差止請求が可能 |
② 投資家へのアピールになる | 「特許取得済」は事業の信頼性アップに繋がる |
③ 将来的にライセンス収入も狙える | 他社に技術提供しつつ収益化も可能 |
④ M&AやEXIT時の企業価値に直結 | 無形資産として買収評価に影響を与える |
■ 実際の出願で気をつけるポイント
・抽象的なアイデアにとどまらず、技術構成を明示する
・「課題→技術的手段→効果」の流れで整理する
・特許庁の審査基準(ビジネス関連発明)に沿って記載する
・出願前に同様の特許があるか調査(先行技術調査)を行う
● まとめ:アイデアを「技術」に落とし込むことで特許は取れる
フィンテック分野は、競合も多くスピード勝負の世界。
だからこそ、自社独自の仕組みやサービスを「技術」として
特許化することで、大きな武器になります。
アイデアを「言葉」ではなく、「技術的構成」として文書化すること。
これが、ビジネスモデル特許取得のカギです。
🧑💼 フィンテック関連の特許出願、サポートします
当事務所では、以下のようなご相談に対応可能です。
・自社のフィンテックサービスは特許対象か判断してほしい
・ビジネスモデルを技術的に整理する手伝いをしてほしい
・スタートアップ向けの出願戦略を提案してほしい
・海外(米国・欧州・中国など)でも通用するか確認したい
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