【商標調査ってどうやるの?】無料ツールと実務家の“視点の違い”を解説
2025.09.30
こんにちは、弁理士の植田です。
「商標、取る前に調べたほうがいいんですよね?」
「ネットで検索したけど、似た名前なさそうだったから大丈夫かな…?」
そんな声をよく聞きます。
たしかに、商標調査は出願前に必ずやっておきたいステップです。
ただし、ここには落とし穴も。
今回は、商標調査の基本的なやり方から、
無料ツール(J-PlatPat)を使う方法、そして
弁理士など実務家との“視点の違い”について、
わかりやすく解説します。
■「商標調査」とは何のためにするの?
商標は、「先に似た名前を登録している人がいれば、後から出願しても通らない」
先願主義の制度。
つまり、「被っていたらアウト」です。
調査をせずにいきなり出願してしまうと──
✔ 出願しても登録されない
✔ 商品名・サービス名を変更せざるを得なくなる
✔ 他人の権利を侵害して損害賠償請求を受ける
…という事態もありえます。
だからこそ、出願前の調査が超重要なんです。
■無料で使える!J-PlatPatでの商標検索方法
商標調査の第一歩は、「既に登録されているかどうか」を調べること。
その際、国が提供している無料データベース「J-PlatPat」が便利です。
検索の手順は以下の通りです
1.J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にアクセス
2.トップページの「商標検索」をクリック
3.「商標名」に調べたい名前を入力
4.類似検索 or 完全一致検索を選択(通常は「前方一致」などを使う)
5.結果一覧を見て、似たような商標があるかを確認
この時、「区分」や「指定商品・役務」も見ておくことが大事です。
たとえば同じ名前でも、食品とアパレルでは区分が異なり、登録できる場合もあります。
■でも実は…J-PlatPat検索には限界がある
ここで注意点。
J-PlatPatで「出てこなかったから大丈夫」と安心してしまうのは危険です。
実際には、
・表記が違っても発音が似ていればNG
・英語とカタカナの違いも判断対象
・ひらがな・ローマ字・記号の有無なども類似とみなされる場合がある
つまり、「人間の耳で聞いたときにどう聞こえるか?」や、
「見たときにどう感じるか?」といった“感覚的な判断”が含まれます。
これが、機械検索の限界です。
■プロは何を見ているのか?実務家の“視点の違い”
私たち弁理士が調査する際は、
単に「同じ名前があるか」だけでなく、以下のような視点を含めて判断します
・発音や意味、印象が似ているか?
・審査で問題になりやすい「類似群コード」まで考慮しているか?
・過去に拒絶された事例に似ていないか?
・仮に被っていたとして、商標の主張(識別力)の仕方に工夫の余地があるか?
要するに、“引っかかりそうかどうか”だけでなく、
“どう通すか”の視点まで含めて調査しているんです。
■「無料検索+プロの目」がベストバランス
最近は、ChatGPTなどで名前を考える方も増え、
「ネーミング→即出願!」というスピード感も高まっています。
でも一歩立ち止まって、
・ネーミング案を3〜5個用意しておく
・J-PlatPatでざっと調べてみる
・プロに相談して“危ない橋”を渡っていないか確認する
という流れを挟むことで、出願後の後悔や損失をぐっと減らせます。
●まとめ:商標調査は「感覚+経験」がものを言う
商標調査は、
「ただ名前を検索するだけ」ではなく、
“審査官の目線”を先読みする作業とも言えます。
無料ツールで調べるのも素晴らしい第一歩ですが、
その先に進むなら、ぜひ実務家の視点を加えてみてください。
「これって被ってるんですか?」
「この名前で通る可能性、どのくらいありますか?」
「調査してもらった上で、どれを出すべきか相談したい」
そんなご相談も大歓迎です。
📩 商標の調査・出願をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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