【BtoBでも必須】下請け・OEMでも商標登録が必要な理由
2025.10.11
こんにちは、弁理士の植田です。
「うちはBtoBだから関係ないと思ってた」
「下請けで製造だけしてるから、商標は取ってなかった」
「OEM元のブランドだから、商標は向こうが持ってると思ってた」
実は、このような考えが思わぬトラブル
につながるケースが、近年増えています。
商標というと「自社ブランドを売る人のためのもの」と思われがちですが、
BtoB企業や下請け/OEM企業にも無関係ではありません。
今回は、なぜBtoB企業・下請け・OEMメーカーでも商標登録が重要なのか、
実際に起こりうるリスクや対策を含めて解説します。
■「商標」はネームプレートだけではない
商標とは、商品やサービスの「名前」「ロゴ」「マーク」
などを独占的に使う権利のこと。
その対象には、以下のような要素も含まれます。
・自社製品の型番やシリーズ名
・商品パッケージに載せるブランド名
・OEM供給時に使う商品名やロゴ
・ウェブサイトや営業資料に使うキャッチフレーズ
つまり、「売ってる会社じゃなくても」、
“名前を付けてモノをつくる”なら関係ある話なのです。
■よくある商標トラブル事例
1. OEMで製品を納品していたが、
ブランド名の権利を他社に取られていた
ある日突然、「そのブランド名はすでに登録済み。使わないでほしい」
と言われ、取引先からのOEM依頼が打ち切られたケース。
結果的に、せっかく育てた製品ラインが“他人のもの”扱いになってしまったということも。
2. 製品名で出展した展示会で、商標侵害を指摘された
長年使っていた商品シリーズ名を展示会に出したところ、
類似名で商標を持つ企業からクレーム。
大急ぎで名前変更と販促資料の修正に追われた例もあります。
3. 元請けからの委託製品なのに、商標が自社名義ではなく困った
ブランド構築の途中で元請けと関係が悪化。
ロゴやネーミングを変更しなければならず、製品の信頼も実績も水の泡に。
■なぜ「商標登録しておくこと」が重要か?
✔ 製品を守れる
どれだけ品質が良くても、「名前」を
他社に取られれば販売できません。
自社名義で商標登録しておけば、自社製品である証明ができます。
✔ ブランド戦略を立てやすい
将来的に自社ブランドで販売する可能性があるなら、
今のうちに権利を押さえることが布石になります。
✔ トラブルを防げる
後から名前を変えるのは大変です。
印刷物、型、WEB、取引先への説明…費用も信頼も失いかねません。
■「OEMだから相手が登録するはず」は要注意
たとえ元請け企業が商標登録している場合でも、
契約上、自社でどう使えるかを明確にしておく必要があります。
「どちらの名義で出願するのか」「どのような条件で使えるのか」など、
契約書や覚書で確認しておくことが重要です。
■中小企業でもできる!最低限の対策
1.使いたい名前が他人の商標になっていないかを調べる
→ 無料のJ-PlatPatなどで検索できます。
2.商標登録できるかを専門家に相談
→ ネーミングの段階で相談すれば、最初から“通りやすい名前”にできます。
3.OEM契約時には知財の取り決めも交わす
→ 商標の名義、使用範囲、権利の扱いを明文化しておくこと。
■まとめ|「売る人」だけでなく「作る人」も守る時代へ
「うちは下請けだから関係ない」と思っていたら、
逆に名前を使えなくなったという事態は、本当に増えています。
商標は、BtoCだけの話ではありません。
むしろ、製造やOEMを請け負う企業こそ
“ブランドの土台”をつくる存在であり、
その価値を守るための権利が必要なのです。
名前の選定やブランド構築は、マーケティングの話だけでなく、
知的財産の話でもあります。
ぜひ、自社のビジネスに必要な“守り”の一歩を考えてみてください。
📝 ご相談・お問い合わせはこちらからどうぞ!
📌 YouTubeサブチャンネル開設!
「小さな会社のための知財戦略」をテーマに、わかりやすく解説しています
▶︎ チャンネルを見る
📌 ミライエ国際特許事務所の公式YouTubeチャンネル
事務所紹介や知財に関する最新情報を配信中
▶︎ 公式チャンネルはこちら
📌 ミライエの公式Instagramでも日々の活動を発信中!
▶︎ Instagramを見る