商標登録が出資審査で効く理由 VC・投資家が見る“知財の指標”とは?
2025.10.20
こんにちは、弁理士の植田です。
スタートアップや中小企業が資金調達に挑む際、「知財」は単なる“法務的な話”ではありません。
実は、商標登録ひとつで投資家の評価が大きく変わることもあるのです。
「商標って出資に関係あるの?」と思ったあなた。
実は、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家は、商標登録の有無をしっかり見ています。
今回は、なぜ商標登録が出資審査で効いてくるのか?
その理由と見られているポイントについて解説します。
■商標が「守られていないブランド」は怖い
スタートアップの武器は、サービス名やプロダクト名などの“ネーミング”です。
SNSで話題になったり、認知が広がったりすることでブランドが形成されていきます。
でも、もしその名前を他社が先に商標登録していたら?
あるいは、あなたが商標を取らずに運用していたら?
投資家から見れば、
・「そのブランドは本当に自社のものか?」
・「後から訴えられたり、使えなくなるリスクはないか?」
という不安が生まれます。
これが、出資判断に影響を与えるのです。
■VC・投資家がチェックする“商標まわり”のポイント
以下のような視点で、VCはブランドや知財を見ています。
① 名前・ロゴの商標登録は済んでいるか?
意外と多いのが、
「会社名・サービス名は商標登録していないけど、
使い始めています」というケース。
VCは「この名前、ちゃんと保護されてる?」
という観点で見ています。
出願中でもOKですが、
“何もしていない”と、後々のリスクが大きすぎる
と判断されてしまいます。
② 似た名前が既に存在していないか?
投資家が独自に調査するケースもあります。
J-PlatPatなどで簡単な商標検索は誰でもできるので、
見られている前提で準備しておきましょう。
③ 海外展開を見据えて、国際的な商標戦略があるか?
日本国内だけでなく、海外展開(アジア・アメリカなど)を視野に入れる場合、
「その国で同じ名前が取れるのか?」
「他社に使われていないか?」
もチェックポイントになります。
国際出願(マドプロ)を検討しているかどうかは、
グローバル志向の企業にとって重要です。
■商標登録が出資の“安心材料”になる理由
商標登録があるということは、
以下の点で事業の信頼性が高まると見なされます。
・法的リスクを抑えている(訴訟・商標侵害のリスク減)
・ブランドが他社に取られないよう備えている
・事業が中長期で継続する前提で設計されている
・出口戦略(M&A・上場)での価値評価にも繋がる
VCや投資家は、「回収できるか」を非常に重視します。
商標という“見える資産”があるかどうかは、
出資後の安心材料になるのです。
■登録されていない=投資先として“危うい”
逆に言えば、こんなケースは要注意です
・商品が売れてきたのに、商標出願していない
・類似した名前が他社で登録されている
・ロゴ制作時に知財確認をしていない
・国際展開を語っているのに、日本にしか出願していない
これらはすべて、「ビジネスの足元が固まっていない」
と判断されるポイントです。
■出資審査で慌てないためのチェックポイント
1.会社名・サービス名は商標出願済み?
2.使用しているロゴやネーミングに類似商標はない?
3.海外展開を考えているなら、対象国の調査をしている?
4.SNSやドメイン名との整合性も見ている?
これらを事前に整えておくだけで、投資家との商談がスムーズになります。
■まとめ|“知財の穴”は、評価の穴になる
商標は「あとで取ればいい」と思われがちですが、
投資家から見ると
「今すぐにでも取っておくべきリスク管理項目」です。
出資を受ける予定があるなら、
今すぐ商標まわりの整備を始めてください。
そして、自信を持ってこう言えるようにしましょう
「うちのブランドは、知財的にもちゃんと守られています。」
それだけで、VC・投資家の見る目が変わります。
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