【特許のタイミング問題】公開しすぎて出せなかった実例と回避策
2025.10.28
こんにちは、弁理士の植田です。
特許の世界でよくあるのが、「出そうと思っていたのに、もう出せない」というケース。
原因は単純で――“公開が早すぎた”からです。
せっかく良い技術や仕組みを開発しても、
タイミングを誤ると権利化できない。
今回は、実際にあった“もったいない事例”と、
そこから学べる回避策を解説します。
◆ 実例① 展示会で公開してしまった製造業のケース
ある中小製造業の企業が、新しい部品加工の仕組みを考案しました。
展示会の準備に追われる中、パンフレットやサンプルを
用意して出展。
ところが、その展示会の写真がニュースサイトに掲載されたことで、
後日、特許出願を検討したときにはすでに「公知(こうち)」扱いに。
つまり、「世の中に知られた技術」として特許が取れなくなってしまったのです。
◆ 実例② クラウドファンディングでの“うっかり公開”
あるスタートアップでは、開発したIoTデバイスを
クラウドファンディングで発表しました。
製品ページには、仕組みを説明する図や動画、
構造の特徴まで詳しく掲載。
反応は良かったものの、その後「特許を出したい」
と弁理士に相談したところ、
すでに公開から数週間が経っており、「新規性喪失」
が成立してしまいました。
クラウドファンディングは集客面では非常に有効ですが、
技術の“事前公開”というリスクを理解していないと、
将来の権利取得が難しくなることがあります。
◆ 実例③ 社内資料を学会で発表してしまった研究者
大学発ベンチャーでよくあるのが、論文や学会発表での先出しです。
研究成果をアピールしたい気持ちは当然ですが、
発表資料に新しい構成や実験結果を載せた段階で「公知」になります。
その後に特許出願しても、
「あなた自身がすでに発表している」として
拒絶理由が出されてしまうケースが多いのです。
◆ こうすれば防げる!2つの回避策
① 公開前に出願する
最もシンプルかつ確実な方法です。
展示会・発表会・クラファン・プレスリリース――
“外に出る前に出す”を徹底しましょう。
③ 社内チェックルールを設ける
営業・広報・研究開発など、部署をまたぐと「誰かが勝手に発表していた」ということも。
“公開前に知財担当へ相談”というルールを社内で明文化しておくと安心です。
◆ まとめ:特許は“スピード勝負”の時代
特許の世界には、「先願主義(せんがんしゅぎ)」
という原則があります。
つまり、“早く出した者勝ち”。
出願タイミングを逃せば、いくら素晴らしい技術でも他社に先を越されたり、
自らの発表でチャンスを潰してしまうこともあります。
「発表する前に、まず相談」。
それが、特許を守るためのいちばん簡単で確実な一歩です。
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「この技術、もう公開しちゃったけど出せる?」
「展示会前に相談したい」など、
早めの段階で話を聞かせていただければ、最適な方法をご提案できます。
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