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【意匠登録と著作権の違い】“見た目を守る”2つの手段を比較

2025.10.29

こんにちは、弁理士の植田です。

「ロゴやパッケージ、UIなど、見た目のデザインはどう守るべき?」
この質問に対して、多くの方が混同しがちなのが
意匠登録著作権 の違いです。

どちらも“ビジュアル”を保護する制度ですが、
守れる範囲や権利が生じるタイミング、使いどころが異なります。

今回はこの2つの知的財産制度を、
できるだけわかりやすく比較してみます。


◆ そもそも「意匠登録」とは?

意匠登録とは、物の形状・模様・色彩などのデザインに対して、
あらかじめ特許庁に申請して審査を受け、
独占的な権利を取得する制度です。

たとえば…

・スマホアプリの操作画面(UI)
・家電製品の形状
・商品パッケージ
・アクセサリーのデザイン

など、“産業として量産される前提の見た目”を対象にしています。

意匠登録には、新規性創作性といった審査基準があるため、
「誰でも勝手に登録できるものではない」
一方、登録されれば法的な強さが非常に高いのが特徴です。


◆ 一方で「著作権」とは?

著作権は、創作された時点で自動的に発生する権利です。
登録や申請の必要はなく、たとえば以下のようなものが
対象となります。

・イラスト
・写真
・Webデザイン(HTMLやCSSの構成を含む場合も)
・ロゴ
・グラフィックアート

著作権は“創作した人の思想や感情が表現されたもの”が対象となるため、
ビジネス的な“機能的デザイン”というよりは、
芸術性や独自性のある表現に向いています。


◆ 意匠登録と著作権の“決定的な違い”

1.発生タイミング
 - 意匠:出願して審査・登録が必要
 - 著作権:創作と同時に自動で発生

2.権利の強さ
 - 意匠:登録されれば明確な権利で、差止請求もしやすい
 - 著作権:侵害かどうかの判断が難しく、争いになりやすい

3.保護対象の範囲
 - 意匠:プロダクトやUI、量産されるデザイン向け
 - 著作権:芸術的・創作的表現に対して強い

4.保護期間
 - 意匠:出願から25年(2020年の法改正による)
 - 著作権:原則として著作者の死後70年(法人の場合は公表後70年)


    ◆ どっちを選べばいいの?という人へ

    結論:両方を意識するのがベストです。

    たとえば、アプリの画面デザイン(UI)であれば、
    UIの構造的な見た目には意匠登録、ボタンアイコンなどには著作権。

    また、商品のパッケージも、立体的な形状には意匠、
    そこに載っているイラストやロゴには著作権が適用されるケースが多いです。


    ◆ “見た目”は模倣されやすい。だからこそ備えておく

    特許や商標と違い、「見た目の部分」は
    誰でも簡単にマネできてしまいます。

    だからこそ、意匠登録や著作権を活用して、
    見た目から差別化を守る必要があります。

    特に、

    ・デザイン性が売りの商品を扱うEC事業者
    ・アプリ開発者・UIデザイナー
    ・パッケージデザインに力を入れる食品・化粧品業界
    ・オリジナルキャラクターやロゴを使うサービス提供者

    といった方々には、早めの知財戦略が欠かせません。


    ◆ まとめ:機能と感性を、両方の知財で守る

    意匠登録と著作権は、それぞれ得意分野が違います。
    言い換えれば、「ビジネスの機能」と「表現の感性」
    という2つの軸で、
    あなたの“見た目”をトータルに守ってくれるのです。

    まずは、自分の扱っているデザインが、どちらの制度で保護できるのか?
    一度確認してみるところから始めてみましょう。


    ご希望があれば、意匠登録・著作権に関する簡易診断やアドバイスも可能です。
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