【マドプロの使い方】国際商標出願を成功させる3つのステップ
2025.10.29
こんにちは、弁理士の植田です。
海外でも自社ブランドを守りたい──
そんなときに活用できるのが「マドプロ(マドリッドプロトコル)」です。
日本にいながら複数国へ商標出願できる便利な制度ですが、
制度を知らずに失敗するケースも少なくありません。
今回は、マドプロを使って国際商標出願を成功させるための3つのステップを、
実務経験を踏まえてわかりやすく解説します。
ステップ①:まずは“日本で商標登録済み or 出願済み”であること
マドプロは、「日本での商標出願(または登録)」を
ベース(基礎)にして使う制度です。
つまり、日本での出願がなければマドプロは使えません。
ここで大事なのは、
・出願と同時にマドプロを使うことも可能
・登録後に海外出願を追加することも可能
という点です。
ただし、日本の出願内容と同一の内容でしか出願できないため、
商品・サービスの指定範囲やネーミングに誤りがあると、
そのまま海外にも影響します。
ベース出願は慎重に行いましょう。
ステップ②:出願する国を“ビジネス展開”に合わせて選ぶ
マドプロでは、一括で複数国に出願できるのが魅力ですが、
どの国でも出せるわけではありません。
対象は「マドプロ加盟国」のみ。現在120以上の国・地域が
対象ですが、例えば以下のような選び方が重要です。
・すでに販売している国
・今後進出を予定している国
・偽造や模倣リスクが高い国(例:中国、東南アジア)
・製造拠点やサプライチェーン上で重要な国
「売ってから守る」では遅く、むしろ「進出前に出願しておく」のが鉄則です。
また、国によって審査の厳しさやスピードが異なるため、
国別の傾向を踏まえた戦略設計が求められます。
ステップ③:出願後の“5年間”は特に注意!
マドプロ出願後、最大18ヶ月程度で各国から審査結果が通知されます。
問題なく登録された後も、最初の5年間は以下のような注意点があります。
・日本でのベース出願が取消・拒絶された場合、
海外の権利も連動して失効します
・審査で拒絶された場合、国ごとに現地代理人を通じて対応する必要があります
・拒絶理由の内容は各国の制度によって異なります(英語でのやりとりが必要になるケースも)
つまり、マドプロは便利な一方で、「日本の商標が基礎」
になることのリスクもきちんと理解する必要があります。
■まとめ:マドプロで守るべきは“権利”だけじゃない
マドプロは、海外進出する企業にとって非常に有効な武器です。
ただし、制度の仕組みを理解せずに進めると、
「出願したけど通らなかった」
「守りたい国が対象外だった」
ということにもなりかねません。
成功のカギは、
1.日本でのベース出願をしっかり整える
2.出願国の選定をビジネスとリンクさせる
3.出願後のリスク管理とメンテナンスを意識する
この3つです。
グローバルにブランドを展開する企業にとって、
商標は単なる権利ではなく“信用と認知の資産”。
マドプロをうまく使って、その資産を世界で守りましょう。
ご相談歓迎
出願する国の選び方や、費用感、
拒絶リスクへの備えなど、実務的な視点でアドバイス可能です。
「うちの場合どうなる?」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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