【“その名前、もう登録されてます”】日本での先願チェックを怠るとこうなる
2025.11.05
── ベトナム・タイで商標が取れていても、日本では別の人が持っているパターン
こんにちは、弁理士の植田です。
「海外で取ったから、日本でも大丈夫」は間違い
東南アジア、特にベトナムやタイでビジネスをされている企業から、
よくこんな声を聞きます。
「ベトナムではうちの商標、ちゃんと登録済みです」
「タイでも3年前から使ってます」
それ自体は素晴らしいことですが、日本市場への進出時に大きな落とし穴があります。
それは──
日本でその名前、他人に先に取られてるかもしれないということ。
■実例:「うちの名前、使えないんですか…?」
あるベトナム企業は、自社ブランドで食品を製造し、現地と欧州では商標登録も済ませていました。
そして満を持して、日本市場に輸出・販売を開始。
ところが──
日本の輸入代理店からこんな一言が。
「このブランド、日本では別の会社が商標登録してますよ」
慌てて調べたところ、まったく関係のない第三者が、
数年前に同じ名前で出願・登録済み。
結果、ブランド名を変えるか、販売をあきらめるかの選択を迫られることに…。
■商標は「国ごとに別モノ」──つまり、取り直しが必要
商標制度は国ごとに独立しています。
ベトナムで取れているからといって、
日本でも自動的に保護されるわけではありません。
さらに、日本は「先願主義」。
つまり、早く出願した人が権利者になる
これが鉄則です。
たとえ、あなたが本当の「創業者」だったとしても、
日本では後から来た人の方が強いというルールなのです。
■よくある「登録済み」パターン3選
1.別業界で同じ名前を使っている企業がある
→ 自社と全く無関係でも、同一・類似の区分であればアウト
2.過去の代理店や関係者が勝手に出願している
→ 「うちが販売してるから」と代理店が先に登録していたケース
3.いわゆる“商標ブローカー”が先回りしている
→ 特にインバウンド商品や日本市場で注目されそうな名称は要注意
■対策:日本での「先願チェック」と早めの出願
1. まずは無料ツールで簡易調査
「J-PlatPat」などの無料データベースで、類似商標がないか確認しておく。
2. 優先度が高い名前は早めに出願
正式リリースの前でも、「使う予定」があるなら出願できます。
3. 海外出願の優先日を使う
海外での出願から6か月以内であれば、
日本でも同じ日付で出願した扱いにできる(パリ条約優先権制度)。
■まとめ:「自分の名前」が日本で使えないという衝撃
海外で長年育ててきたブランド名。
それが、日本では使えないと告げられる悲しさは計り知れません。
しかし、それを防ぐのはたった一つの先願チェックと、一歩早い出願だけです。
日本での販路拡大を検討中の方は、
ぜひ「その名前、もう取られてませんか?」を今一度ご確認ください。
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