【売れたあとが怖い】スタートアップが知財でやりがちな初期ミス3つ
2025.11.17
こんにちは、弁理士の植田です。
最初は「とにかくローンチが先!」と思っていたプロダクト。
気づけばユーザーが増え、投資家の目に留まり、売上も伸びてきた。
──そんな“売れたあと”に、知財の問題が発覚して大きな壁にぶつかるスタートアップは、実は少なくありません。
この記事では、スタートアップがやりがちな「知財の初期ミス」3つを取り上げ、それをどう防ぐかを解説します。
■ミス①:「名前を使っている=権利がある」と思い込む(商標未登録)
サービス名やプロダクト名を決めて、ロゴも作って、SNSアカウントも取った。
もう「うちの名前」だと思って安心していませんか?
実は、商標登録をしていなければ、他社に奪われるリスクがあります。
よくある失敗例:
・名前を先に使っていたのに、後から別の会社が商標出願していた
・ローンチ後に商標侵害の警告書が届き、サービス名を変更するハメに
・商標未登録のまま出資を受け、DDでリスクを指摘される
対策:
・事前にJ-PlatPatなどで簡易チェックする
・将来伸ばすサービス名は、できるだけ早く商標出願しておく
・「使っている=守られている」ではないと肝に銘じること
■ミス②:技術や仕組みを「公開しすぎる」(特許の出願タイミングミス)
SaaSやハードウェア、アルゴリズム系のスタートアップでよくあるのが、
技術的な強みをオープンに説明しすぎて、特許を取れなくなるケースです。
よくある失敗例:
・Webサイトや資料で仕組みを図解 → 出願前に「公知」となり特許NG
・ピッチで詳細に話した内容が録画・公開されていた
・プレスリリースで“ネタバレ”してから出願 → 拒絶理由がつく
対策:
・「出す前に出す」:公開より出願が先!
・初期でもコア技術だけは出願しておく
・特許にできそうなものは、出願の有無を確認してから外部に公開
■ミス③:デザインやUIの“見た目”をノーマークにする(意匠ノーガード)
UI・UXにこだわったアプリやプロダクトでよく見かけるのが、
デザインは商標でも特許でもない=何も守られていない状態です。
アイコン、ログイン画面、スマートデバイスの形状など、“見た目”こそ真似されやすいのに、守る手段を知らないスタートアップが非常に多いです。
よくある失敗例:
・他社が似たデザインで先に意匠登録していた
・デザインを盗用されても、法的に止められなかった
・デザイナーと契約書なしで進めており、権利帰属があいまい
対策:
・“見た目”は意匠権で守れると知ることが第一歩
・ロゴ・UI・プロダクト形状など、デザイン資産の洗い出しを行う
・デザイン発注時は著作権・意匠権の帰属について契約で明確化
■まとめ:初期は「事業優先」でOK、でも…
スタートアップの初期フェーズは、何よりもスピードと検証が大事。
ですが、「売れたあと」に知財のリスクが噴き出してくることも、また事実です。
知財は“初期のうちから地ならししておく”と、成長段階で効いてくる武器になります。
✔ いますぐできるアクションチェック
・サービス名・屋号の商標チェック済みか?
・公開資料と特許出願の順番、逆になってないか?
・UIやプロダクトデザインの意匠登録、検討済みか?
・契約書で知財の帰属を明確にしているか?
「うちは技術で勝負している」
「ブランドを大切にしたい」
──そんな企業こそ、知財の準備を“攻めの姿勢”で始めてみてください。
知財で事業の“リスクとチャンス”を両方守れるようになります。
ご希望があれば、スタートアップ向けの知財診断チェックリストもご用意可能です。
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