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【他社との共同開発】特許出願の『分担』と『取り決め』、これを忘れるな

2025.11.26

こんにちは、弁理士の植田です。

今日は、他社や大学、フリーランスとの「共同開発」をされている方に、特にお伝えしたい話です。

開発はうまくいった、技術もできた、でも――
「特許をどう出すか」「誰の名義で出すか」が曖昧なまま進んでしまうケース、実は非常に多いんです。

そしてこれ、後から揉める原因の“筆頭”でもあります。

今回は、共同開発における特許の「分担」と「取り決め」について、絶対に押さえておくべきポイントを解説します。


■「権利化」の話が後回しになると、どうなるか?

たとえばこんなシチュエーション、ありませんか?

・外部の企業と共同で新製品の開発に成功
・実際に特許出願も行った
・でも、どちらが出願人になるか、口約束のままで進んでいる
・開発後、関係が微妙になり、出願の権利や使用の条件でトラブルに…

これは実際によくある話です。
開発中は「一緒にやっていこう」と気持ちが盛り上がっていても、ビジネスとして利益や使用権の話が出てくると、感情も複雑になりがちです。


■忘れてはいけない「発明者」と「出願人」の違い

まず押さえておきたいのが、「発明者」と「出願人(特許を取る人)」は別の概念だということ。

発明者は、「誰がアイデアを出したか」という技術的な貢献者(変えられない)
出願人は、「誰がその特許を保有するか」という権利者(取り決め次第で決まる)

共同開発の場合、発明者が複数名になってもおかしくありません。
そして、出願人(=特許の名義)も複数になる可能性があります。

つまり、「どっちの会社が持つのか?」「使用条件はどうするか?」を事前に取り決めておくことが重要なんです。


■特許をめぐって、こんなトラブルも…

共同開発で多いトラブルの例を挙げてみます。

出願人を相手企業にした結果、自社は自由に使えなくなった
ライセンス条件を決めていなかったため、相手に高額で使用料を請求された
事前の契約がなく、特許権の持ち分が折半になり、自由に活用できなくなった
発明者名を間違えてトラブルに発展(これは法的にもNG)

つまり、「技術を一緒に作ったからOK」ではなく、どう守るか・どう使うかをしっかり契約で詰めておくことが必要です。


■押さえておきたい「取り決め」の3つのポイント

共同開発の前後で、以下の点は最低限取り決めておきましょう。

① 特許出願の名義(出願人)は誰か?

・単独で出すのか、共同出願にするのか?
・共同出願の場合、持ち分は何対何にするのか?

② 権利化後の使用条件はどうする?

・自社が自由に使えるようにするには?
・相手が第三者にライセンスする場合の制限は?

③ 出願・中間対応・管理の“実務”をどちらが行うか?

・出願手続きの費用負担
・拒絶理由対応の主担当
・登録後の維持管理と費用

これらを契約書(共同開発契約・知財条項)として書面にしておくことがトラブル防止のカギです。


■まとめ:共同開発における「特許の扱い」は最初に決める!

・共同開発の特許は「誰のものか」「誰が使えるか」が重要
・出願名義や使用条件は必ず事前に契約で明確化
・曖昧なまま進めると、将来のビジネスにブレーキがかかる可能性あり


■「うちは大丈夫かな?」と思ったらご相談を

「もう出願してしまったけど、契約がない…」
「これから共同開発が始まるが、どう準備すればいい?」

そんなときは、早めのご相談がおすすめです。
当事務所では、契約書の作成支援や、知財戦略のアドバイスも行っています。

知財は、技術だけでなく“使えるかどうか”がビジネスの分かれ目。
ぜひ一度、仕組みの見直しをしてみてください。

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